脳死後と心停止後の臓器提供の違い
「脳死」、あるいは「心臓が停止した死後(心停止後)」によって、提供できる臓器は異なります。
提供できる臓器に違いがあるのは、血液の流れが止まった状況から移植後に血液の流れを再開して機能を発揮できる能力の違いによるものです。
心停止後の臓器提供では、心臓が止まった死後、手術室に向かい、臓器の摘出手術を行います。一定時間、血液の流れが止まるため、速やかな対応が必要です。提供できる臓器は、腎臓、膵臓、眼球です。必要な体制が整備されていることが前提となりますが、手術室がある病院であれば提供が可能です。
脳死下の臓器提供の場合は、血圧、脈拍、体温、尿量など安定した状態で臓器摘出手術を行い、摘出直前まで血液の流れがあることから、心臓・肺・肝臓(分割可)・腎臓・膵臓・小腸・眼球の7つの臓器を最大11人に提供することができます。
脳死下の臓器提供ができる医療施設は、高度な医療を行う大学附属病院等に限られ、かつ必要な体制が整備されていることが前提となります。
ドナーから臓器を摘出して、血流再開までに許される時間(虚血許容時間)は心臓では4時間、肺で8時間、肝臓や小腸で12時間、膵臓や腎臓では24時間といわれています。