海外と日本で行われる移植医療に違いはありますか。

移植手術の方法や技術水準などに大きな差はありません。しかし、法律により提供できる条件は、国によって異なります。

アメリカでは、年間約1万4000人が死後に臓器提供し、3万5000件を超える臓器移植が行われています。また、ドイツや韓国、そしてイギリス、フランス、スペインなどの先進国でも、臓器移植は一般的な医療として定着しています。

一方、日本では、国内での移植に限ってみると、脳死後、心臓が停止した死後の件数を合計すると、1997年から2021年12月までの約24年間に6,616件の移植が行われています。このように、日本の臓器移植件数は、アメリカやヨーロッパの諸外国等と比べて格段に少ないのが現状です。

その理由として日本では、法改正後も脳死後に臓器を提供する場合に限定して脳死は人の死とされますが、世界のほとんどの国では、臓器提供とは無関係に、脳死は人の死として認められていることや臓器移植に関するガイドラインの厳しさが大きく影響しているものと考えられています。

そして制度も異なります。日本、アメリカ、ドイツ、韓国などでは、本人の生前の意思表示または、家族の同意のどちらかがあれば、脳死後の臓器提供が行われます。また、フランスやスペイン、イギリス(2020年より)などでは、本人が生前、臓器提供しない意思を示しておかない限り、臓器提供するものとみなされます。

こうして大きな開きがある海外と日本の臓器移植の件数ですが、改正臓器移植法施行からも10年以上が経過し、ガイドラインの改訂や国民の意識の変化などを通じて徐々に縮めていくことが期待されています。

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