臓器移植の現状について

日本における移植医療の現状

臓器提供数の推移

国内の死後(脳死下及び心臓の停止後)の臓器提供件数は年間およそ100件前後で推移しているのが現状です。2010年の改正臓器移植法施行により、本人の拒否の意思がない場合は、本人の意思が不明であっても家族の承諾で臓器提供ができるようになりました。合わせて、可能となった15歳未満の小児からの提供も含め、脳死下の提供件数が増えています。

臓器提供件数の推移の図

※1995年は、日本腎臓移植ネットワーク発足後の4〜12月

臓器移植件数の推移

臓器移植の件数は、2010年の改正臓器移植法施行により脳死での臓器提供件数が増えたことに起因して増加しています。具体的には、心停止後に提供できる臓器は、膵臓、腎臓、眼球*に限られているのに対し、脳死下では、これらの臓器に加え、心臓、肺、肝臓、小腸が提供できるためです。
しかしながら、移植件数は移植希望登録者数の増加に追い付いていないのが現状です。

臓器移植件数の推移の図

※1995年は、日本腎臓移植ネットワーク発足後の4〜12月
*眼球:眼球については臓器移植件数に含まれていません

臓器移植後の生存率

日本の臓器移植の医療技術と移植後のケアは非常に高い水準にあります。
移植後5年で移植者が生存している割合(生存率)は、心臓、膵臓、腎臓で90%を超え、肝臓80%、肺、小腸は70%を超えます。
腎臓は透析によって、膵臓はインスリンによって命をつなぐことができますが、心臓や肺、肝臓などは移植を受けなければ生きていくことができません。
移植を受けなければ数ヵ月後には亡くなられていた可能性を考えれば、移植医療は命をつなぎ、生きる希望となっているといえます。

小児脳死下臓器提供と移植の現状

2010年の改正臓器移植法施行に伴い小児の脳死下臓器提供が可能となりましたが、特に家族の心情に配慮しつつ、虐待の除外や厳密な法的脳死判定の実施など慎重な対応が求められています。そのような状況において、2022年12月末までに、18歳未満からの脳死下臓器提供が65件あり、合計302名の方々が移植を受けることができ、多くの小児登録者が移植を受けるに至っています。提供された方々の公表されている年齢区分では、6歳未満25件、6歳以上10歳未満5件、6歳以上18歳未満21件、10歳以上15歳未満9件、15歳以上18歳未満5件でした。
また、心臓、肺、肝臓移植は18歳未満の提供者からは18歳未満の登録者が優先され、腎臓、膵臓移植は20歳未満の提供者から20歳未満の登録者が優先されるルール(レシピエント選択基準)になっています。これにより、小児の移植希望登録者が優先的に移植を受けられます。

小児の脳死下臓器提供件数

小児の脳死下臓器提供件数の図

年齢別臓器移植件数

心臓 肝臓 腎臓 膵臓 小腸 合計
移植件数 58 49 68 82 33 11 302
内、18歳未満 54 24 53 45 0 8 185

※膵腎同時移植を含む

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