臓器移植について

臓器移植(レシピエント)
希望登録

臓器移植の対象となる臓器と主な病気

JOTには、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸の移植希望者が登録しています。移植希望登録を行う方法は、臓器によって多少異なります。
腎臓は、末期腎不全で移植を希望する患者が通院、または透析をしている施設から移植施設を受診の上、移植施設を通じて登録します。
心臓の場合は日本循環器学会心臓移植委員会、肝臓の場合は脳死肝移植適応評価委員会、肺の場合は中央肺移植適応検討委員会、膵臓の場合は膵臓移植中央調整委員会・地域適応検討委員会、小腸の場合は脳死小腸移植適応評価委員会のように学会ごとに設置された中央適応評価委員会が患者データを医学的に検討した結果、移植が必要と判定された人について、移植施設からJOTに登録します。各学会において、移植を受けることができる基準が定められています。

心臓移植の適応疾患

心臓移植の適応は、従来の治療法では救命ないし延命の期待がもてない重症心疾患(拡張型心筋症、拡張相の肥大型心筋症、虚血性心疾患など)と定められており、多くの患者は補助人工心臓(VAD:ventricular assist device)など心臓の機械的な補助、または集中治療室などで強心薬の持続投与を受けている状態です。

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肺移植の適応疾患

肺移植の適応は、現在の医療において肺移植のほかに有効な治療法がなく、2年生存率が50%以下と生命の危険が迫っており、肺移植によって生命予後が改善されることが予想される場合と定められています。適応疾患としては、原発性肺高血圧症、突発性肺線維症、びまん性汎細気管支炎、肺気腫などがあり、状態により両肺移植または片肺移植の術式の登録が行われます。なお、心肺同時移植の適応となる疾患もあります。

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肝臓移植の適応疾患

肝臓移植の適応は、進行性の肝疾患のため末期状態にあり、従来の治療方法では余命1年以内と推定されているものと定められています。ただし、先天性肝・胆道疾患、先天性代謝異常症などの場合には必ずしも余命1年にこだわらず適応とされています。適応疾患としては、急性肝不全昏睡型(いわゆる劇症肝炎)、非代償性肝硬変、先天性肝・胆道疾患、肝細胞癌などがあります。
腎不全を併発している場合は肝腎同時移植の適応となります。また、腸管不全関連肝障害は肝小腸移植の適応となります。

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腎臓移植の適応疾患

腎臓移植の適応は、何らかの原因で腎機能が完全に廃絶し、生命維持が困難となった末期腎不全の状態となった場合です。末期腎不全の治療法には、腎臓移植のほか、血液透析、腹膜透析などの透析療法がありますが、透析療法で体内に蓄積された尿毒素ならびに水分を体外に除去することは可能なものの、造血・骨代謝・血圧調整などに関連した内分泌作用を補うことは難しく、透析療法の合併症発現により患者の生活の質は低下します。適応疾患としては、慢性糸球体腎炎、lgA腎症、糖尿病性腎症など慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)の進行による慢性腎不全です。

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膵臓移植の適応疾患

膵臓移植の適応は、1型糖尿病患者で、インスリンを用いたあらゆる治療手段によっても血糖値が不安定であり、代謝コントロールがきわめて困難な状態が長期にわたり持続している患者(膵臓単独移植の対象)、または腎不全に至った糖尿病疾患(膵腎同時移植・腎移植後膵臓移植の対象)であると定められています。適応疾患としては、1型糖尿病、膵全摘後などがあります。

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小腸移植の適応疾患

小腸移植の適応は、小腸から栄養を消化・吸収できなくなる腸管不全に陥り、かつ、中心静脈栄養法が難しくなった場合や中心静脈栄養法による重大な合併症が生じ、生命に影響が及ぼすような状態となった場合です。適応疾患としては、短腸症候群、機能的不可逆性小腸不全などがあります。

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