臓器移植コーディネーター
ドナーとレシピエントの懸け橋になる
「臓器移植コーディネーター」とは?
ご提供いただいた臓器が、移植を希望する方に適切に渡るよう調整し、あっせん手続きを行うことが主な仕事です。
臓器移植コーディネーターには2種類あります。
臓器を提供する人とその家族に関わる「ドナーコーディネーター」と臓器の移植を受ける人に関わる「レシピエントコーディネーター」です。
私たち公益社団法人日本臓器移植ネットワークに所属するコーディネーターは「ドナーコーディネーター」です。
採用時は一般職として入職。入職後一定期間の研修を受講し、終了後の試験に合格した後、臓器移植コーディネーターとして任命されます。
01.臓器移植コーディネーターの仕事内容
基本業務
1件のドナー情報の対応にかかわるJOTのコーディネーターは約10名。
ドナーが入院している病院(現地)で業務を行うコーディネーターと、社団オフィス(本部)で業務を行うコーディネーターに分かれ、連絡を取り合い情報を共有しながらチームを組んで担当します。
現地(病院)での業務
病院から、臓器提供に関する説明を希望するご家族がいるとの連絡を受けた後、すぐに病院に向かいます。病院到着後は、主治医や看護師等との打ち合わせ、病院の臓器提供体制の確認、患者さんの治療経過や現状、ご家族構成、ご家族の様子などの情報収集を行います。さらに、臓器提供に際して禁忌となる事項がないか確認します。
病院内での情報収集後は、ご家族との面談を行い臓器提供について詳しく説明を行います。コーディネーターはドナーやご家族の選択を尊重し、決して強要することはありません。ご家族の総意として、臓器を提供することが決まったら、承諾書作成を行います。
承諾書作成後、移植に関する検査の手配や臓器摘出手術及び臓器搬送に関する調整、カルテ等からドナーの医療情報収集、臓器摘出手術への立ち会いなどを行います。
現地(病院)にいるコーディネーターは、ご家族の臓器提供の意思決定や思いを支え、臓器提供の一連のプロセスが円滑に進むよう病院の医療スタッフと協働して業務にあたります。また、現地(病院)での一連の業務は、常に本部(社団オフィス)のスタッフと連携しながら対応します。
本部(社団オフィス)での業務
一方、本部にいるコーディネーターは、ドナーの血液検査の手配を行い、検査結果に基づき、レシピエントを選定(順位付け)します。レシピエント選定は国で定められた選択基準に従い、適正に行います。
現地(病院)で業務にあたるコーディネーターからドナーの医療情報を受け取り、情報を確認・整理し、移植病院へ連絡して最終的なレシピエントを決定します。
また、警察や消防防災局、民間の航空会社など様々な機関と連携を図りながら、搬送経路や手段を立案し、安全かつ迅速にレシピエントへ臓器が届けられるよう、移植病院と相談しながら臓器の搬送経路を決定します。
臓器あっせんが始まると3~5日に渡る勤務をすることもあります。また、休日出勤になった時は、代休を取得できます。
02.臓器移植コーディネーターのデスクワーク
デスクワークも重要な仕事!
ドナー情報の対応は24時間いつ起こるか予測ができませんが、あっせん業務以外にも、コーディネーターにはたくさんの仕事があります。
臓器あっせんに関する書類作成等
臓器提供から移植までの一連の手続きが終了した後は、報告書の作成などを行います。また、臓器移植に関する各種データ管理も重要な仕事のひとつです。
医療機関の体制整備
全国の医療機関において臓器の提供が円滑に行われるように、医療機関の院内マニュアルを整えることや、臓器摘出手術のシミュレーションなどの支援を行います。
その他
その他、会議資料作成、病院での勉強会の資料作成など、デスクワークにも多くの時間を費やします。
コーディネーターは一般市民の方への啓発活動を行うことはありませんが、医療機関に向けた啓発活動を行います。
03.臓器移植コーディネーターとして活躍できるのはこんな人
気が付き、気が利く人
ご家族の言動や感情の機微を細やかに察知し、ご家族が必要とすることにさりげなく手を差し伸べることができる人。
コミュニケーションが得意で
協調性がある人
コーディネーターはチームで動くことが多く、また医療機関の医師・スタッフや行政など社外の方とのやりとりをすることもあるのでコミュニケーション力のある人。
正確に業務を遂行できる人
法律やガイドライン、業務基準書に基づいて業務を行うので、ルールを正しく理解して正確に対応ができる人。
経験・資格
医療分野での実務経験者
看護師、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、公認心理士 等、医療機関で勤務された経験
医療業界での勤務経験
製薬会社や医療機器メーカーなど医療業界での業務経験