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[特集]子供の臓器提供を考える
6歳の息子の意思を聞くことはできなかったけど、
どこかで生き続けていてほしいという思いで腎臓の提供を決意。
ドナーファミリーからの手紙を見て「本当に良かった」と思っている。
 私の息子は、平成7年に二つの腎臓を提供しました。

 息子は、平成3年に硬膜脳静脈奇形と診断を受け、5回の関頭手術など、さまざまな治療を続けましたが、亡くなる1年前には、医師からターミナルケア(回復が望めない終末期の医療)を告げられ、亡くなる半年前には食事も取れない寝たきりの状態となりました。その時、どこかで息子が生きていけたらと、腎臓提供しようと決めたのです。そして、平成7年1月、息子は亡くなり、息子の身体から二つの腎臓が取り出されました。40歳代の男性と女性に移植されたそうです。当初は、本当に良かったのだろうかという不安も少しありましたが、相手の方からの手紙を頂いて、打ち消すことができました。手術後すぐに頂いた手紙には「今まで1日200ccも出なかった尿がみるみるうちに袋に溜まっていく。赤い赤いおしっこ。それはすごい感動でした。一生忘れないでしょう。」と書かれてあり、その後の手紙には「当初、長さ7cm程度だった彼も今では約11cmに成長し、私の身体の一員として一緒に−生懸命に、そして頼もしく活躍しており、これからも、お互いに励ましながら頑張って生きていきたい」と書かれていました。この手紙を頂いて、涙が止まりませんでした。本当に良かった。息子は生き続けている、頑張っているんだと思いました。

 移植が成功する裏には悲しみがあります。人の死があります。たとえば交通事故で突然、肉親が死と直面する。臓器を提供するかしないか、選択の時間が無く、なかなかうまくいかないかもしれません。確かに、肉親を亡くす悲しみというものは大きいけれども、後々歳月が経つことによって、自分のしたことに救われるということもあるのだということ、そして、それが幸せにつながるということを、もう少し皆さんに知って頂きたいと思っているのです。息子は生き続けているのです。世の中には、助かる命もたくさんあると思うのです。臓器移植、骨髄移植などの方法、可能性が残されているにも関わらず、それができなくて亡くなっていくのです。それは、とても不幸なことだと思うのです。私は、無理に臓器提供をしてほしいと勧めているわけではありません。私の家族のようにしたい、してもいいと思っている気持ちを大切にして欲しいのです。その気持ちが生かされていないことが哀しいことだと思うのです。

 私の息子の移植の成功は、病院側の協力があったからです。その病院でも、初めてのことでしたので、息子の年齢、意思表示などなど、倫理委員会を開いて病院全体で考えていただいたのです。そして、私達の考えを受け入れて下さいました。私と主人は他の病院から移植チームが来るまで、息子の側にいました。大勢の先生方には息子の命をつなぐため、心臓マッサージを続けていただきました。それは、息子の死ではなく、新たなる命の誕生だったのです。私は今、病院にとても感謝しています。

 息子が亡くなって2年後の平成9年に「臓器移植法」が成立し、意思表示カードができました。私達家族も話し合い、主人も私もカードに記入し、運転免許と一緒に携帯しています。しかし、今回の法律では、娘たちがカードを持つことができませんでした。15歳未満の子供には認められていないからです。今14歳の娘は、10歳の誕生日に自分の意志で、自分で葉書を書いて、腎臓バンクに登録しました。下の娘も提供する気持ちでいます。たまたま、ラジオで小児の脳死判定に関する放送を聞いた時に、娘は「私が死んだら、みんなあげてね。今、私はこんなに元気だけど、明日交通事故とかで死んじゃぅかもしれないから、ちゃんとしてね。お願いね。お兄ちゃんみたいな病気の人にあげたいから。」と、私に言いました。私はその時、とても驚くと同時に、娘の成長を感じました。兄弟の死や臓器提供の経験があったので、考えたのでしょうが、自分の考えをちゃんと持っているのです。臓器提供や移植医療について、家族や友人と話し合ってみてはいかがでしょうか。提供する、提供しない。それは、どちらでも構わないと思います。自分はどうしたいか、自分の最期をどう迎えたいか、ということです。とても難しい問題だとは思いますが、年齢に関係無く、話し合うことが、私はとても大切なことだと思っています。

 昨年、5年目の命日に、思いがけない出来事がありました。突然息子が会いに来てくれたのです。本当に嬉しかったです。相手の方が、ずっとお礼が言いたかった、会ってお話したかったと、尋ねて来てくださいました。胸のつかえが取れたように感じました。今年もまた、息子に会うことができました。話すことができました。そのことに感謝をし、幸せを実感しています。
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「小児救急医療の現場から見る子供の臓器提供」
−阪井裕一
子供の臓器移植q&a
「子供への親身な看護、ご家族への誠意ある支援を」
−佐々木祥子
「我が子の臓器提供を通じて」−武内喜代美
「子供の夢や意思を聞いて欲しい」−高木雅代

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