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[特集]ドナーファミリーの集い
家族を失った悲しみ。臓器提供の決意。
さまざまな状況と思い。
同じ体験を持っていなければ分かり合えないこと、
同じ体験を持っているからこそ支え合えること、
共に語り合うことがとても大切なことに気が付きました。
初めてのドナーファミリーの集い。
深い緑に包まれた上野の森にて。
 6月26日土曜日。昨夜の雨もあがり、緊張の朝を迎えました。‘95年4月に全国規模の腎臓移植ネットワークが立ち上がってから、心臓停止後の腎臓などの臓器を提供されたご家族の皆様にお声を掛けて初めて「ドナーファミリーの集い」が開催されるのです。ネットワークができる前や海外で提供されたご家族も多くいらっしゃるのですが、お伝えできた範囲でお誘い合わせ頂きました。全てのドナーファミリーの方々にご連絡できなかったこと、交通費が自己負担であることなどをたいへん危惧していましたが、14組30名のご参加をいただくことになり、感謝しつつ準備を重ねました。

11時半の開始を前に、武内さんご家族が静岡から抱えきれないほどの真紅のバラを持ってきてくださいました。参加ご家族とスタッフは、受付でネームプレートを付けてからそのバラを1本ずつ持ち、会場に作られた祭壇に献花をしました。お子さんにはこの会の主旨にご賛同いただいたポプラ社から本のプレゼントも用意されました。間澤さんご家族のご配慮によるものです。献花を終えて皆さんが席につかれた頃を見計らって、開会の辞。
日本臓器移植ネットワークの筧榮一理事長から、臓器を提供された方のご冥福と尊いご決断をされたご家族の勇気を称える言葉が述べられました。臓器を提供された方、そしてここに来られなかった多くのご家族にも思いを馳せ、全員で黙とうを捧げました。静かで厳粛な時間。各地から集ったご家族とスタッフの思いが一丸となった瞬間です。

次に、厚生省臓器移植対策室の朝浦室長からのご挨拶。臓器移植法が施行されてから4例の脳死からの臓器提供があったご報告とその根底には心停止後の腎臓などの提供をされた方々や海外での臓器提供された方々の尊い善意が礎になっていることに敬意の念を表しました。今後も、ご本人の意思とその意思を尊重したいというご家族の決断を実りある医療として確立するために全力を注ぐことと、ドナーファミリーのお声に耳を傾け、真摯に受け止めていきたいとおっしゃっていました。

会場にはアメリカのドナーファミリーが制作したCDの音楽が流れ始めました。間澤さんご家族が4月にワシントンで行われた『ドナーファミリーに感謝する会』に出席した時に贈られたものをお貸しいただきました。

ここで移植コーディネーターから、実際に臓器提供をお手伝いさせていただいた時のサンクスレターとそれに対するドナーファミリーの方からのお返事を2通ご紹介しました。今では、レシピエント(臓器の提供を受けた人)からドナーファミリーにサンクスレターをお渡しすることは珍しくないのですが、移植コーディネーターがいなかった時代や感謝の言葉を文字で表現することが苦手な方もいらっしゃって、必ずしも皆さんが手にしているものではありません。しかし、実際にはレシピエントの皆さんがこのように深く感謝し提供された臓器と善意を大切にされている様子をお伝えしたかったのです。
 さらに、当日来られない方がその思いやメッセージをお手紙でお送りいただいたものを事務局からご紹介しました。都合の合うまたの機会に、あるいは家族の死をもう少し受容できた時には是非出席したいという方もいらっしゃいました。

あらかじめご出席されるご家族には亡くなられた方の思い出のお写真をお送りいただいていましたので、それをスライドと記念のアルバムにしました。ひとりひとりスライドで元気な頃のお写真を映し出し、お名前と臓器提供のエピソードをご紹介しながら故人を偲びました。涙が止まらない時間。どのお写真にも思い出と愛情があふれていましたから。

初対面のご家族ばかりですが、お話をしてくださる方もいらっしゃいました。「レシピエントの方には健康に注意され大切に生きていて欲しい」「臓器提供することを誤解されないようにきちんと普及啓発して欲しい」「アメリカでは脳死をもって死であることが宣告されてから臓器提供を決意できるのに、日本では残された家族が脳死と心停止という死の選択をしなくてはいけないのが酷です」と。
 隣の会場にはささやかな昼食を用意いたしました。記念にお渡しするために作ったアルバムをテーブルに並べ、それぞれのご家族が持ち寄った思い出の品を周りに置いて、食事をしながら語り合いました。移植コーディネーターも参加させていただき、いろいろなご家族と挨拶やお話を交えていくうちに皆さんの緊張が少しずつ和らいできたように感じました。今まで吐露できなかった胸の内を明かし再び涙される方、提供の時の辛く感じた状況を説明してくださる方、同じ体験をした方との出会いに感動される方、再会を約束されている方、笑顔も見せていただきました。故人を偲び、そのさまざまな思いを語り合った2時間はあっという間に過ぎ、最後に記念撮影をして、閉会いたしました。

移植医療に携わる関係者全員からの尊敬の念と臓器の提供を受けた方からの感謝の気持ちは、あまりにも大きくて伝えきれなかったかもしれません。しかし、それよりも深くて大きな愛と勇気を与えてくださったのはドナーとなられた方、そしてドナーファミリーの方々です。心より敬意を表し、故人のご冥福をお祈りしたいと思います。

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